親方日記

「『和紙と漫画』の文化と保存を考える会」について

2023.04.28

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3年前、漫画家のちばてつやさんからの相談で、手作り鉛筆を作った事。

それが僕達にとっての出発点になりました。

【リンク:ちばさんのブログ"ぐずてつ日記"】

「今までに描いてきた漫画の原画が、劣化して相当傷んできているのです。文化的な価値のあるものが失われていく。どうにかならないものですかね。」というちば先生の声。漫画家さんにとって、鉛筆とともに大切なものが紙です。その劣化が深刻な問題になっているというのです。

何か力になれないものかと随分と頭を悩ませましたが、原画そのものは劣化を止められないから「データ」と「現物」の両方で高精細な複製品を作成し、これを永久保存させようという方向になりました。ここで問題になったのが、長期保存を前提とした「一番良い紙」は何か、という事でした。

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ちょうどその頃、知り合いの越前和紙の職人さんで伝統工芸士の村田さんという方から相談を受け、地元の伝統産業である越前和紙が技術伝承などに課題を抱え、衰退への危機感が高まっている事を知りました。

越前和紙は、特に虫害に強いガンピを原料に用いたものは「紙の最高峰」と呼ばれ、美しい光沢と1300年前の古文書が奈良の正倉院に現存するほどの高い耐久性が特徴です。しかし近年では、こうした上質な雁皮100%の紙を漉くことができる職人さんは、ごく僅かしかいないというのです。

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ここで、漫画と越前和紙の2つがつながってきます。

高品質と長期保存に適した越前和紙を用いれば、漫画文化の保存と発展に役立てられる。

漫画文化が融合することで越前和紙に新たな付加価値が生まれ、伝統産業の再興に役立てられる。

このことに着目して2023年1月、漫画関連・製紙業・印刷業・報道・その他、合わせて十数名の知人にて「『和紙と漫画』の文化と保存を考える会」を結成するに至り、第一弾として越前市での和紙の展示会を行うことになりました。

当面は漫画文化と和紙文化の保存と発展を第一義として進めて参りますが、将来的にはあらゆる方面で応用の可能性が開けていると思っています。

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